続 窓ぎわのトットちゃん
著者 黒柳徹子
から抜粋させていただきます。😊
p227
退院するとき、トットは先生に質問をした。
「死ぬまで病気をしない方法はありますか?」
すると先生はこう言った。
「それは珍しい質問だね。
これまでそんなことを聞いた人はだれもいなかった。
でも、方法が一つだけあります。
それは、自分の好きなことだけやって生きていくことです。」
トットは、そんなことなら簡単だと思って、頭に浮かぶ楽しいことを次々と口にした。
「明日はお芝居を観て、あさってはおいしいレストラン。
その次の日は映画館に行って、その次の日はデパートに行って...」
「だれが遊んでいなさいと言いましたか。
自分の好きなことだけをやってくださいと言ったのは、自分から進んでやりたいと思う仕事だけをやってくださいという意味です。
そうしていれば、人は病気になりません。
いやだな、いやだなと思っていると、いやだながたまって病気になるのです」
当時はまだ「ストレス」という言葉は一般的ではなかった。
先生は、仕事でストレスをためないことが大事だと言いたかったに違いない。
トットは「わかりました」と答えた。
それからいまに至るまて、自分がいやだなと思う仕事は引き受けないようにして、進んで取り組める仕事だけをやってきた。
もちろん、テレビの仕事もお芝居の仕事も、楽しいからこそずっと続けている
退院の日を迎えた。
NHKの人たちに「退院しました」と報告すると、すべての現場から「すぐに帰ってきてください」と言われた。
「もう、君の戻る場所はないよ」という現場は一つもなかった。
以上です。
数十年前の素晴らしいお医者さん✨